西野そらの日々の事ごと

「書く」ことを暮らしのなかの一つに。日々の些事をどう受け止め、考えたのか。忘れないように。

教えたかったのは……。

 小学生たちが私の仕事場でもある市立図書館にやってきた。1年3組の生徒たちと老練な女性の先生。

「ひとり3冊まで。時間は15分です」

いくぶんつぶれた低い声で先生は言い、生徒たちは散り散りになった。

 絵本。恐竜や月、地球。工作、スポーツ。そろぞれが一番に読みたい本が並ぶ書架へずんずん進んでゆく。

 「広島カープについての本ありますか」「手話の本はどこですか」

読みたい本を見つけらない子もある。短い時間で子どもたちが読みたい本に出あえるよう、探しものを手伝う。

 15分後、100冊の本が集まった。

 生徒たちは貸出カウンターの横に2列にならんで貸出の手続きが終わるのを待っていた。それも、じつにおとなしく。 

 途中、ざわつきかける場面もあったが、先生がキリリとした顔を列にむけて「静かにする約束だよね」低い声で静かに声をかけた途端、おしゃべりが止むのだ。

 貸出の手続きが終わると、子どもたちは順番に先生から数冊ずつ本を受け取り、持参した布袋にいれた。百冊の本がたちまち生徒たちの袋におさめらる。

 そして、先生は子どもたちに声をかけた。

お姉さんたちにお礼を言いましょう」

 

 静けさを取り戻した図書館。お姉さんと呼ばれたおばさんたちはヒソヒソと談義をする。

「先生が教えたかったのは……、方便かしらね」

「それよりあれじゃないの。 ほら、配慮の精神?」

 

 

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友人が薦めてくれた

安房直子の「秋の風鈴」がおさめられている

童話集『銀のくじゃく』(筑摩書房)です。

どんな物語でしょうか。楽しみです。

西野 そら