西野そらの日々の事ごと

「書く」ことを暮らしのなかの一つに。日々の些事をどう受け止め、考えたのか。忘れないように。

夏のキラキラ

 

 葦簀越しの眺めがすきだ。

 うちの居間は西側に面していて、冬は西向きの居間でよかったと思う。エアコンの暖房をつかわずとも、ホットカーペットとオイルヒーターでしのげる程度に部屋を暖めてくれる。23年前の冬ここに越してきたときには、マンションの利点である密封性を考慮しても部屋の暖かさ、とくに居間が暖かいことに感激した。

 されど。季節がめぐった初めての夏には、西日の威力に辟易したのである。洗濯物を夕方ちかくまで干せておける夏の良さはあるにしても、洗濯物を取り込んだ途端、強烈な陽射しが居間にはいってくる。カーテンを閉めればいいが暗い部屋で過ごすのはちょっと、ねえ。で、日除けなわけだ。すだれをかけた時期もあるし、洒落た日除けシェードの購入を考えたりもしたのだけれど、確たる理由もなくもとめた9×6尺の葦簀、これがよかった。以来15年、葦簀一辺倒である。

 午後、9×6尺の葦簀を立てかけ、朝になれば巻いて脇に立てかけておく。巻いたり伸ばしたりする際、葦がポロポロと折れてベランダが散らかる難点やその後の掃除などの手間はあるが、葦簀越しの風情ある眺めをどうしても手放す気にはなれない。

 ことさらすきな眺めは、ギラギラした陽射しでベランダの手すりとステンレスの物干し竿がキラキラ反射する、葦簀越しのキラキラ。

 夏はさほどすきではないが、わたしにはこの眺めは夏のよさの一つである。

 

  ことし(2018年)関東では7月待たずして梅雨があけた。ここ数年、梅雨期であることを感じない6月、7月ではあったけれど、とうとう7月をまたずに梅雨あけの現象を引き起こすほど、なにかが変化しているのであろうか。それともことしに限ったことなのか。

 そのうえ。雨が降らないかわりなのか、やけに風がふく。ここ数日、葦簀越しに洗濯ハンガーが激しく揺れるのを見て強風に気づいた。そして気がつくや、葦簀が傾く。

 強風がなんども葦簀を傾けた日。わたしは葦簀の端に紐をくくり、ベランダのタイル壁に引っ掛け金具を貼り付けた。傾かない葦簀、一丁あがり。

 

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右端のキラキラ、わかりますか?

西野 そら