西野そらの日々の事ごと

「書く」ことを暮らしのなかの一つに。日々の些事をどう受け止め、考えたのか。忘れないように。

思いがけないこと

 6月25日

 「もしもし。先日そちらで靴を購入した者ですが、箱に左足が2つ入っていまして……」

 

 この日、午前9時過ぎには家を出ないといけなかった。朝食の片づけをしながらなにを着て行こうか考える。そうだ、靴はあれをおろそう。5月中旬にもとめて、箱のまま物入れに仕舞いっぱなしだった靴を思い出した。

 身支度をすませ、箱から玄関のたたきに靴を置いたそのときだ。

 んっ?なんだか並びかたが気持ち悪い。形状が左右対象でないような……。なにかがおかしいと思いつつ右足を入れてやっと確信する。両方とも左足だ。

 左足が2つ並んだ靴を見て、いくらのっぺりとした表情のない靴だとしても、靴屋のまちがいを疑わず自らの錯覚を疑うのだから、我ながらおかしい。

 慌てて履きなれた靴に足を入れ玄関を出る。

 夕方帰宅してから冒頭の電話と相成り、交換の手はずをとる。

 6月26日 

 左右揃った靴と交換完了。店の若い女性が申し訳なさそうに詫びてくれるが、こちらも一ヶ月近く箱を開けずに放っておいたのだし。

「どうぞお気になさらずに」

 こう言いたいところだが、彼女の謝罪は店としての謝罪。これはふさわしくない。言葉をのんで店をあとにする。

 スーパーマッケトに立ち寄り、スープジャーを購入。

 6月29日

 大学生の弁当はリゾット。

 保温力に優れたスープジャーならではの簡単弁当。インターネットのレシピ情報で、ジャーに米と沸かしたトマトスープをいれさえすれば3時間後にはできあがるリゾットをみつけたのだ。

 レシピどおりに米とスープをいれて蓋をした。が、蓋がキッチリ閉まらない。微妙に浮いているところがある。説明書を読み直すもキッチリとはいかない。まあ、漏れなければよい。逆さにしてみた。その途端蓋が外れ、熱いトマトスープが飛び散った。

 受話器の向こうはメーカーのお客様相談室の担当者。

「欠陥品ならば購入店でお取り換えします」 

 欠陥品かどうかは購入店が判断するらしい。

 それなら大学の帰りに店に立ち寄ってもらおう。スープジャーとトマトスープまみれの説明書をいれたビニール袋、お昼代を娘に手渡す。

「やっぱり欠陥商品だった」

 夕方、娘から新しいスープジャーを受け取る。

 

 ときどき思いがけないことに遭遇する。思いがけないことをしてしまう自分もいる。それだから、お互いさまと言ってしまいたくなる。

 

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電子ピアノの上にいる「福」たち。

緑の置物はオーストラリア、上のフクロウは新潟からやってきました。

下のフクロウと小さな豚は近所から。

西野 そら