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西野そらの日々のこと 

「書く」ことを暮らしのなかの一つに。日々の些事をどう受け止め、考えたのか。忘れないように。

永福町

 行列に並ぶ派?並ばない派?

 わたしは並ばない派である。

 銀行のキャッシュディスペンサー、店のレジ、電車・バス・タクシーといった順番を待たなきゃ支障をきたす列は、べつである。流行りの飲食店、アミューズメントパークのアトラクション……などのまえにできる、自らが待つか待たぬかを選ぶことのできる行列には、並ばない。

 天邪鬼な性格のゆえ、行列をみただけでその先にあるものを知ろうともせずに避けたくなるのだから、そうとう良きものとの出合いを逃しているのかもしれない。まあ、ほかのところでバッタリ出合えたりもするンだけれど、ね。

 渋谷と吉祥寺をつなぐ京王井の頭線に永福町という駅がある。駅の北側にでると、たいてい行列が目にはいるはずだ。これは「永福町大勝軒」の中華麺を目当てにできる列で、十人以上ならんでいるのが常である。

 初めてこの光景を見たのは部屋探しのために訪れた二十五年まえ。当時はこの行列のできる店が有名店だとも知らず、また知りたいとも思わず遠巻きにした。黙って佇む人の列を尻目に不動産屋に向かったのだ。隣駅の西永福に住み始めてようやく、かの店が知る人ぞ知るラーメン界の名店だと知る。

 当時、世の中はちょっとしたラーメンブームが起きていた。それまでの醤油、塩、味噌といった定番以外の目新しいラーメンが次々と話題になっていて、ラーメンとは蜜月時代であった。ラーメンと聞いただけで唾を飲むほど、どんなラーメンでも食べてみたかった。

 そしてついに禁じ手を破り「永福町大勝軒」の行列に並ぶひとりとなった。今でもそうだと思うが、曜日や時間帯によっては、何十人もの列になり三、四十分待つこともあるがためらわず何度も列に加わている。

 もう一度書こう。わたしは行列に、並ばない派である。けれどいまなお数年に一度、並ぶ派と化しあの中華麺を食べている。わたしにとって例外中の例外が永福町にある。

 

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啓翁櫻です。

1週間ほどまえに開花しました。

sora