西野そらの日々の事ごと

「書く」ことを暮らしのなかの一つに。日々の些事をどう受け止め、考えたのか。忘れないように。

夏といえば……

夏といえば入道雲。素麺。蝉の声。かき氷。浴衣……。「夏といえば」のあとに置く言葉は数多あれど、今夏のわたしはこれだ。 夏といえば高校野球。 次女は高校3年生。甲子園をめざす同級生が予選のコマを進めるべく、闘いの只中にいる。只中にいるのは同じ学校…

背中合わせ

わたしはネガティブ思考らしい。家族がそういうのだからそうなのかもしれない。わたし自身はそうかしらと、てんでピンとこないけれど。そも、ネガティブ思考になったりポジティブ思考になったりするのが、ヒトじゃなかろうか。

夏のキラキラ

葦簀越しの眺めがすきだ。 うちの居間は西側に面していて、冬は西向きの居間でよかったと思う。エアコンの暖房をつかわずとも、ホットカーペットとオイルヒーターでしのげる程度に部屋を暖めてくれる。23年前の冬ここに越してきたときには、マンションの利点…

役目

たとえば、学校の保護者会。先生の笑いのとりかたにピンとこない。大人の集まりといえどもそう長くは続かないのが集中力である。先生は保護者たちの様子を察知しながら緩急をまじえ話される。「はい、ここが笑いどころ」という箇所では、笑うための間もあっ…

生まれ変わるとしたら

「もう、生まれてこなくていい」 いまの知識と記憶を残すことがきるとして、次に生まれて来るとしたらなにになりたいかと夫に訊いたら、こう返ってきた。またまた、なにをおっしゃいますか。冗談じゃなくてさ。いまの知識と記憶があって生まれ変わるとしたら…

そしてわたしは途方に暮れる。

雨の日はきらいじゃない。きらいじゃないけれど、今は少しばかり憂鬱。 憂鬱の原因は自転車通勤。いや、自転車通勤が憂鬱なのではない。雨合羽だ。嵐の ような雨の降りかたでないかぎり雨合羽を羽織って、わたしは自転車を走らせる。

野菜の教え

いつも行く八百屋さんで梅と目があって、たじろぐ。もうそんな時期……。小ぶりの梅に季節の移ろいを教えられる。 昨年は5キロ買って梅干しをつくったけれど、ことしは手をだしません。きっぱりと梅と自分に宣言して、梅の横に置かれている枝豆を手に取る。

御託を並べる

5月も半ば。ようやく花粉から解放されて心置きなく窓を開け放てる。 午前の清々しい風がレースのカーテンをなびかせて居間にはいってくる。ああ、花粉症でなけりゃ、もっと早くからこの春風をあじわえるというのにねえ……。

映す

向けた笑顔が宙に浮く。受け止めてもらえなかった笑顔のやり場にこまって(こまった感情やら、沸き起こる疑問やらなにやらに自分自身が気づかないふりをして)上がった口角をゆっくりと下げる。 鏡だと感じてきたようなところがある。人との接し方のことだ。…

24回目

パスタ。 「夜はなにが食べたい?」と、朝長女に訊いた返事がこれだ。どんなパスタがいいのかも言わず、この一言だけを残して長女は出勤していった。 夕方。出先からの帰り道にいつものスーパーマケットに立ち寄る。さてと、なんのパスタにしようか。冷蔵庫…

わたしは伝言板

どうするの?」 ゴールデンウイーク中、家族ででかける予定はあるのかないのか。自分の予定をたてるために長女がこう訊いてきたのは4月上旬だった。差し当たり家族旅行の計画も、どこかへ出かける予定もない。

踊ってる?

信号待ちのじかん。横断歩道を行き交うひとたちをみるともなしにみていた。目は歩く人から交差点の向こう側に止まる車へ焦点を移し、さらに左にずれて、列植されている一番手前の街路樹で止まった。

だって、ニンゲンだもの。

「明日の集まり、欠席されるとのこと。もし私の出席で気分を害したのであれば申し訳ないと思い……」 予想だにしないLINEがSさんから届いた。ぼんやりとSさんの顔が浮かぶ。 集まりとは子どもの部活の母さま総勢14名で、学校や子どもたちの情報なんぞを仕入れ…

遠いむかし、小学校の低学年ころのこと。 家の前で井戸端会議をする近所のおばさんたちのちかくで、わたしは友だちと遊んでいた。おばさんたちはひとしきり賑やかに話しこんでいたが、ほどなくして井戸端会議の輪がほどけた。その途端、おばさんの一人がそれ…

こぼす

アレっ?と思ったのは、40代の半ばを過ぎたころだ。ある日を境にというほど断定的ではなしに、気がつけばという感じで箸がうまい具合に口のなかにはいらなくなった。いつもではない。下唇や口の端にあたったりして箸でつまんでいるものがわずかに落下してゆ…

手漕ぎボート

満開の桜のもと、手漕ぎボートにのる。 櫂を握るのは夫が常であったけれど、このたび夫はいなかった。船頭のいないボートに乗るのは、はじめて。そしてこの日はわたしが船頭である。公園のさして広くない池にはスワンボート、屋根のついたサイクルボート、手…

炒飯、結婚、離婚。

冷凍したご飯がたまってきた。そろそろ炒飯のつくりどきだ。納豆炒飯、レタス入り卵炒飯。具材は冷蔵庫にあるもので変わるが、基本は卵、ベーコン、ネギ。具材少なめがわたしの好み。そしてうちでは炒飯を朝ごはんに食べることが少なくない。 熱したフライパ…

帰宅ラッシュの電車で。

「ふざけんな、この野郎」 帰宅時間帯で混み合う電車内。静やかな空気をこの凄みのある声が震わせた。 凄みはあるが、しわがれてはいない。声の主は座席の端に座る男性。作業服のモジャモジャ頭だ。 「野郎」とは、ドア横に立っていた50代後半ぐらいの男性(…

仕舞う。

お雛様を片づけなけりゃ。みずからに言い聞かせた前回。 この1週間、家をでない日には曇天と雨降りでお雛様を仕舞えず、片づけ日和と思われる日には、朝から夕方までの勤労者であった。そんなわけでお雛様を飾ったまま12日(月曜)となり、うちの居間はいま…

物理。世界史。変化。

「やったー、これで捨てられる!」 学年末の試験の初日。次女は帰って来るなり晴れやかな声で言いつつ、物理と世界史の教科書を玄関のあがり口の端に積む。 積まれた6冊の物理と世界史の教科書をペラペラと繰る。見るからに難しそうだ。わたしも物理は苦手だ…

いまが一番いい時期(とき)

この冬は寒かった。 暑いよりは寒いほうがマシだけれど、この冬の寒さは体の芯まで冷た。たとえば。布団に湯たんぽをいれて、毛布と掛け布団布もきちんとかかっているというのに背中がしんしんと冷たくなって目がさめたり。家の中でも重ね着をしライトダウン…

とんとん

手は忙しなく動いていた。焼き網の上の肉をひっくり返し、ワイングラスを口に運美、サラダを小皿に分ける。夫と娘たちに「この肉は焼けた」「それはまだまだ」と指示しつつ食べたり、飲んだり、勧めたりしているものだから、隣に座っていた家族が帰っていっ…

不具合の連鎖

年が明けて早々、相次いで家のモノたちに不具合が生じた。浴室の換気暖房乾燥機と台所の電動昇降棚である。 換気暖房乾燥機は機械の故障でなしに、カバーだ。天井に引っ掛ける箇所が3箇所欠けて(経年劣化)、今にも落ちそうだった。応急処置的にネジでカバ…

西川さん

ときどき名字を間違えられる。結婚する以前にはなかったことで、十中八九、西野が西川となるのだ。 最初に呼び間違えられたのはおよそ20年まえ。長女が幼稚園に入園したころに遡る。 ようやく親子ともども園生活になれ、子どもたちがそれぞれの家を行き来す…

「おーい、オンナたち」

東京駅の1、2番線ホーム。停まっている電車の、まだ、そこかしこが空いている座席の端に座る。発車時刻まで数分。たちまち席が埋まる程度にホームには人が行きかう。 まもなく発車するわさわさしたホームから、 「おーい、オンナたち」

積もる雪。

ジャクジャクかな? ザクッザクッじゃないな。ギシギシ? 夕方。わたしは歯医者に向かって歩いている。雪を踏みしめる音がどう聞こえるか、一歩足をだすごとに音をききとろうと、前かがみになる。

日々のこと

仕事始めの5日。終業時間の午後5時を少し回ったところで外に出て驚いた。 まだ空がほのかに明るい。ほんの2週間まえ。仕事納めだった12月21日には、同じ5時過ぎでもすでに真っ暗だったというのに。 2週間分、春にちかづいたってことですな。

「スマホ、忘れてきたみたい」

年末年始をハワイで過ごすこととなった。 成田空港へ向かう。 うちの最寄り駅から電車に乗るのは次女とわたしの2人だけ。夫と長女はこの日も出社したのだ。次女とわたしが新宿駅から乗り込む成田エキスプレスに、夫は東京駅から乗車してくる。長女は退社して…

はじまりとおわり

2017年は年明け早々、外に出よう(仕事をしよう)という気持ちが芽生えた。とはいえ四半世紀ぶりに働こうというのだ。全くもって現実的な話ではないが、駄目元だ。結果はどうであれ、ともかく行く先の道をみつけたかった。実のところ、みつかるのか、みつか…

感情

金曜日の朝。 「今日は会食があるから、夕飯いらないよ」 思い出したように早口で夫が言った。師走だ。たびたびの会食、忘年会といった集いも仕事である。 「たいへんなことで」 多忙な夫を気の毒に思いながらも(もちろん感謝もしております)、じつをいえ…