西野そらの日々の事ごと

日々のさもない事ごと

見たいように見る

並木道での合唱はフォルティッシモで始まった。合唱しているのは蝉たち。 何小節分鳴いたのかはわからないけれど、木の数にしたら3、4本分歩いたところで蝉の声がピアノになった。

カラダは正直。

自転車どうしの事故で眼窩底を骨折し、全治1ヶ月と診断されたことを前回ここに書いた。あのときは骨折している右顔面にそうとうな痛みを感じながらパソコンの前にいたのだけれど、4、5日もすれば痛みはおさまるだろうと思っていたし、全治1ヶ月は骨がつくの…

避けられない衝突

瞬間的にブレーキを握ったけれど、まにあわなかった。 脇道から街道に入るために停車している車をよけ、車のうしろ側を目指して自転車のハンドルを左に傾けた途端。いきなり目の前に若い女性の顔が現れた。

ポケットの中

家をでるとき、メンバーズカードをサッと取り出せるようにしてクリーニング店に向かった。ついでに、いつもこんなふうに備えるけど結局どこにいれたか忘れるから、今日こそは忘れないようにしなくちゃ。こう思ったこともハッキリ記憶している。

わたしはいま、混乱している。

上の子の妊娠がわかったとき、わたしは専業主婦の道を選んだ。いや、選んだというほど大層なはなしではない。たんに仕事をしながら赤児を育てる発想がなかったというだけ。 仕事は代役がきくけれど、母の役目をだれかに任せるわけにはいかない。若いわたしは…

オットとツマ

子どもたちが同級生である友人3人で、久しぶりのランチと相成った。 「年をとると頑固になるよね」 「うん、なるなる。」 3人とも上の子が社会人、下の子が大学生。そして間もなく定年を迎える夫(うちは少し先)という家族構成だ。

それだから、筍を買いました。

昨年のクリスマスはツリーを飾らなかった。クリスマスツリーだけでなしに、お雛様も飾らなかった。それだから、八百屋で「筍お買い得だよ!」の掛け声にハッとなり、筍を買いました。

ハレの日の服

先週、クローゼットの古株であるコートのことを書いた。 じつを言えば、黒いスーツについて書くつもりでいたのだが、おもいのほかコートへの愛着を吐露しすぎてスーツにまでたどりつかなかった。そんなわけで2週にわたり、古い服の話です。

着古す

物持ちがよいのか、捨てどきがわからないのか。こと衣服に関しては、自分のことながらこの判断がつかない。 クローゼットの中の一番の古株は、27、8年前、20代半ばでもとめた4℃のコート。いまの若い人にはジュエリーブランドの4℃とコートとがつながらない…

社会人と幼稚園生

「焼肉食べたーい」 次女の要望にこたえ2月最後の日曜日は、焼肉の日となる。 予約したのは、ここ何年か通う焼肉店。とはいえ、家族で焼肉を食べるのは年に3、4回程度。注文する以外、お店のひとと話すこともない。それだからわたしたちの顔や名前が覚えられ…

睦月、如月。

「1月、長くない?」 夕飯の片づけをしていた長女が話しかけてきた。ほー、このひともそうだったか。 成人の日(1/14)が過ぎたころから「ひゃー、まだ1月」「えっー、まだ1月」。カレンダー、新聞、パソコンで日付を見るたびに、わたしはこう思っていたのだ。

A6サイズ

かばんの中にあるもの。財布、家の鍵、ハンカチ、ティッシュ、化粧ポーチとスマートフォン。夏の時期と雨が降りそうな日には、汗拭きシートと晴雨兼用の折りたたみ日傘が加わる。そうだ、電車に乗る外出の場合は文庫本も。これらがわたしにとって必要最低限…

年末年始

昨年最後のブログを更新した(12月26日)あの日。 明け方ごろから胃のあたりの臓器が、ジタバタしはじめていた。痛みでうつらうつらするなか、次女の弁当、出勤前に撮るつもりでいたブログ用の写真、職場の事ごとに思いをめぐらせる。

少しずつ。

3ヶ月ほどまえ、買い物帰りに立ち寄った近所の図書館でのこと。 幼児コーナーで若いお母さんが3歳ぐらいの女の子に絵本を読み聞かせていた。もちろん低い声で周りに迷惑にならない程度の音量である。

浄化

前回ここに、黄金色に色づいた銀杏をみて肯定的な心持ちになれた瞬間のことを書いたけれど、なぜ肯定できたのか。もう少しばかり付け足すことにする。 ヒトの手の及ばぬ自然には、わたしの中に溜まった澱のようなものをとりのぞいてくれる作用があり、そのは…

銀杏並木

「最近は春の桜より秋の紅葉が好きになってきてるなあ」 と、トモコさん。 近所に住むトモコさんとは20年来の付き合いである。互いに立ち入らずほどほどに近しいこの距離感は出会った当初から変わらない。

卓球

妹の家に行った。 目当ては小学5年の甥っ子と3年の姪っ子。うちに小さい人がいなくなったから、このふたりから漂う力(ちから)とか穏やかな空気に包まれたくなるのだ。

時間のつかいかた

カーテン日和。そんな言葉はないが、カーテンを洗うのにうってつけの空だった。よしっ、娘たちの部屋のカーテンを洗おう。 長女の部屋のレースカーテンと遮光カテーンをはずし、まずはレースカーテン。洗濯機にいれるも洗濯槽にはゆとりがある。カーテン一枚…

や、野望。

5年後の野望を問われる。夢でなしに野望。 昨年、四半世紀ぶりに外での仕事を得た。一年限りの期間限定であった。が、ことしから職場が民間企業に委託され、思いがけず、委託された会社の契約社員とあいなった。

いいこと聞いちゃった

自転車のタイヤがパンクした。近所の出張専門の自転車修理さんにきてもらう。 修理屋さんはミニバンでやってきた。跳ね上げた後部ドアが屋根に代わり、修理屋さんが開店。

デコとボコ

デコボコした感情が平(なら)されてゆくことを大人然とするなら……。 五十代も半ばにさしかかろうというのに、平されないままのデコボコが形状記憶さながら形をなしてくることが、わたしにはある。

素朴な疑問

午後2時過ぎ。 仕事終わりの職場の玄関先。顔見知りの清掃係の女性が声をかけてきた。 「だれか待ってるの?」「はい、タクシーを」娘の体育祭で学校へ行くと言うと訝しげに、 「お嬢さん、小学生?」

機能

LINEで文章を書くのが苦手だ。なんせ、文字を打ち込むスペースが小さい。少しばかり長文になると、打ち込んだ文が表示されなくなるから文が書きにくい。書き終えてからスクロールして読み返せばいいのだけれど、それが手間。読み返さずに送信する。だから誤…

教えたかったのは……。

小学生たちが私の仕事場でもある市立図書館にやってきた。1年3組の生徒たちと老練な女性の先生。 「ひとり3冊まで。時間は15分です」 わずかにつぶれた低い声の先生がこう言い終わると、生徒たちは散り散りになった。

タンジョウビ

お誕生日おめでとう」 起きしなの夫に言われ、自分の誕生日に気がついた。 ソウダ。キョウハ、タンジョウビ。

8月のある日

8月のある日。 夏休みの甥っ子がやってきた。ヒロくん。小学5年生。人生ゲームの盤を引っ張り出し、遊ぶ。 ヒロくん、チャンスのマス目で見事大金をつかむ。

裏切る記憶

「カレー、食べたいな」夫の言葉にわたしは頷く。うん、おいしいカレーが食べたい。 カレーを食べたくなることも、ましてや食べたいタイミングが夫と重なることも珍しい。一気にカレーへの思いが募る。欧風カレー、インドカレー、タイカレー。さあ、どれにし…

麦わら帽子

この時期に書いた昨年のブログを読みかえした。昨夏のわたしは暑さと大量にでる汗に辟易している。われながらおかしくなった。この夏もさして変わらぬわたしであるからだ。

これはこれ、それはそれ。

魚屋のまえで足が止まった。氷が引き詰められたショーケースの端に、こんもりと積まれた小アジの皿をみつけてしまったのだ。 近づいてきた夫に小アジから目を離さずに言う。

恋。妄想。長風呂。

たしは入浴時間が短い。カラスの行水である。 とはいっても一番風呂にはいるときは、やや長くなる。きりりとした湯に10分は浸かる。きりりとした湯が肌に馴染んでくるまで、ゆっくりと開放感を味わいながら。